お問い合わせ
Topトップ About私たちについて Profile代表紹介 Company会社概要 Services事業内容 人事制度・育成制度設計 人材育成研修 AIアプリ開発 Columnコラム Contactお問い合わせ
HOME/COLUMN/マネジメント
マネジメント

プレイヤーからマネジメントへ|新任管理職がつまずく5つの壁と乗り越え方

加藤 貴之株式会社Cradle 代表取締役/MBA(HR専攻)
部下と1on1で話す管理職
加藤 貴之

皆さんこんにちは!株式会社Cradle代表の加藤です。

この時期は、来春の昇格に向けた管理職研修のご相談をいただくことが増えてきます。先日も、人事の方から「プレイヤーとしては優秀だったのに、管理職になってから苦労している人が多い」というお話を伺いました。

実は、優秀なプレイヤーほど、マネジメントへの切り替えでつまずきやすいものです。今回は、その移行で起こりがちな壁と、乗り越えるためのポイントをまとめました。

この記事の結論

プレイヤーからマネジメントへの移行で大切なのは、「自分で成果を出す」から「チームで成果を出す」へ、成果の定義そのものを切り替えることです。新任管理職のつまずきの多くは、能力不足ではなく、この役割の切り替えができていないことから起こります。

なぜ優秀なプレイヤーほどつまずくのか

新任管理職の多くは、プレイヤーとして高い成果を出してきた人です。ところが、プレイヤー時代に評価されてきた行動と、管理職に求められる行動は大きく異なります。

プレイヤーとして成功してきた人ほど、「自分でやった方が早い」「自分のやり方が正しい」という経験の蓄積があります。その強みが、管理職になった途端に、部下の成長やチームの成果を妨げる原因になってしまうのです。

現場から

新任管理職研修の冒頭で「部下に任せるより、自分でやった方が早いと感じることがありますか」と聞くと、ほぼ全員の手が挙がります。皆さん、決して部下を信頼していないわけではありません。プレイヤーとして結果を出してきた経験があるからこそ、つい手を出してしまうのです。

プレイヤーとマネージャーの違い

プレイヤーマネージャー
成果の単位自分の成果チーム全体の成果
時間の使い方自分の業務に集中する部下との対話・調整・育成に使う
仕事の進め方自分で考え、自分で動く任せて、支えて、結果に責任を持つ
評価されるもの個人の実績・スキル部下の成長と、チームの成果
やりがい自分の手で成し遂げること部下ができるようになること

表のとおり、変わるのは仕事の中身だけではありません。「何を成果とするか」「何にやりがいを感じるか」という、仕事の軸そのものが切り替わります。

新任管理職が直面しがちな5つの壁

壁1. 仕事を抱え込んでしまう

任せ方が分からず、難しい仕事ほど自分で引き受けてしまう。結果として本人は忙しくなり、部下には経験の機会が回らなくなります。

壁2. 部下の仕事の質が気になり、任せきれない

自分の基準で部下の仕事を見てしまい、細かく口を出したり、最後に自分で直したりしてしまう。部下は自信を失い、指示待ちになりがちです。

壁3. 元同僚や年上の部下との関係

昨日まで同じ立場だった同僚や、経験豊富な年上の部下に、どう指示や評価をすればよいか迷ってしまいます。

壁4. プレイヤー業務との板挟み

多くの管理職は、自身も数字を持つプレイングマネージャーです。目の前の自分の業務に追われ、マネジメントが後回しになってしまいます。

壁5. 自分の成果が見えなくなる不安

チームの成果は、すぐには表れません。「自分は何も生み出していないのでは」という不安から、またプレイヤー業務に戻ってしまうこともあります。

現場から

以前、ある企業の人事の方から「営業成績がトップだった方が課長になってから、急に元気がなくなってしまった」とご相談をいただきました。お話を伺うと、部下の商談にすべて同行し、夜は自分の担当顧客の対応に追われていたそうです。本人は「部下のために」と頑張っていたのですが、結果的にチームの誰も成長できない状態になっていました。

スムーズに移行するための4つのポイント

  1. 時間の使い方を決める1週間のうち、マネジメントに使う時間(1on1・チームの打ち合わせ・育成)を先に確保する
  2. 任せる範囲と基準を決める「何を任せるか」「どこまでできたらOKか」を部下と共有し、途中経過を確認する
  3. 1on1で部下を知る部下の強み・不安・キャリアの希望を知ることで、任せ方や声のかけ方が変わる
  4. 成果の定義を切り替える自分の評価を「自分の実績」ではなく「部下の成長とチームの成果」で振り返る

4つのうち、最初に取り組んでほしいのは「時間の使い方」です。マネジメントの時間は、意識して確保しない限り、プレイヤー業務に必ず押し出されてしまいます。

現場から

研修では、「エース社員の部下に大型案件を任せるか、自分が担当するか」というケースで議論してもらうことがあります。「自分でやる」派と「任せる」派に分かれて意見を交わすうちに、「任せたうえで、どこで支えるかを決めておけばいい」という結論にたどり着くグループが多く、その気づきが現場での行動の変化につながっています。

組織として新任管理職を支えるために

移行の壁は、本人の努力だけでは越えにくいものです。組織として、次のような支えを用意しておくことが効果的です。

  • 昇格前:管理職候補研修で、役割の違いをあらかじめ理解してもらう
  • 昇格直後:最初の3か月に、上司や人事との定期的な面談を設ける
  • 制度面:評価制度で、管理職に期待する役割(育成・チームの成果)を明確にする

特に評価制度は重要です。管理職の評価が個人の業績に偏っていると、本人はどうしてもプレイヤー業務を優先してしまいます。

まとめ

  • 優秀なプレイヤーほど、成功体験が邪魔をして移行でつまずきやすい
  • 新任管理職の壁は「抱え込み」「任せきれない」「人間関係」「板挟み」「成果が見えない不安」の5つ
  • 移行の鍵は、時間の使い方を決め、成果の定義を「チームの成果」に切り替えること
加藤 貴之
この記事を書いた人 加藤 貴之株式会社Cradle 代表取締役

大手保険会社の人事部で研修・採用を担当後、米国Purdue University/Boston UniversityでMBA(HR専攻)を取得。三菱UFJ信託銀行、株式会社HRガバナンス・リーダーズでの人事コンサルティングを経て、2021年に株式会社Cradleを設立。MENSA JAPAN会員。

RELATED

関連するコラム