皆さんこんにちは!株式会社Cradle代表の加藤です。
中小企業の経営者や人事の方とお話ししていると、「評価制度はあるけれど、正直うまく回っていない」という声を本当によく聞きます。
制度を作った当時は会社に合っていても、事業や人数が変われば、制度も少しずつずれていくものです。今回は、見直しのタイミングを見極める5つのサインをまとめました。
この記事の結論
評価制度は、一度作れば終わりではありません。「評価に納得感がない」「昇給の理由を説明できない」「評価が形だけになっている」などのサインが出ていれば、見直しのタイミングです。見直しは、新しい制度を作る前に「現状の診断」から始めるのが近道です。
評価制度は「ずれていく」もの
評価制度は、作った時点の事業・組織・人数を前提に設計されています。会社が成長して部署が増えたり、求める人材像が変わったりすれば、制度と現実の間に少しずつずれが生まれます。そのずれが、社員の不満や管理職の負担として表に出てきます。
見直すべき5つのサイン
サイン1. 評価結果に、社員の納得感がない
面談のあとに不満が出る、評価の時期になると職場の雰囲気が悪くなる。評価の基準やプロセスが、社員に伝わっていない可能性があります。
サイン2. 昇給・昇格の理由を、説明できない
「なぜこの人が昇格したのか」を管理職や人事が説明できない状態は、等級や評価の基準があいまいになっているサインです。
サイン3. 評価が、ほぼ全員「普通」になっている
差がつかない評価は、頑張った社員ほど報われない仕組みになっています。評価者が差をつけにくい基準になっていないか、確認が必要です。
サイン4. 評価シートが、形だけになっている
毎年同じ点数をつけている、期末にまとめて記入している。評価が育成や対話に使われていない状態です。
現場から以前ご相談をいただいた従業員100名ほどの会社では、評価シートの項目が10年前のままでした。当時は工場が中心でしたが、今は営業やサービスの部門が大きくなっていて、多くの社員が「自分の仕事と関係のない項目」で評価されている状態でした。管理職の方も「毎年、なんとなく前年と同じ点数をつけている」と打ち明けてくださいました。
サイン5. 事業や組織が、大きく変わった
新規事業の立ち上げ、拠点の増加、従業員数の急な増加などがあった場合は、問題が表に出る前に見直しを検討する価値があります。
当てはまる数で見る、見直しの目安
| 当てはまるサインの数 | 目安 |
| 0〜1つ | 運用の工夫(評価者研修や面談の改善)で対応できる可能性が高い |
| 2〜3つ | 評価項目や基準など、制度の一部の見直しを検討する |
| 4〜5つ | 等級・評価・報酬を含めた、制度全体の見直しを検討する |
見直しの進め方と期間の目安
- 現状の診断社員アンケート・管理職インタビューで、不満の原因を特定する
- 基本方針を決める何のための制度か、どこを変えるかを決める
- 制度を設計する評価項目・基準・運用ルールを作る
- 説明・導入する社員説明会と評価者研修で、新制度を伝える
- 運用・改善する1回目の評価を振り返り、改善する
期間の目安は、評価制度のみの見直しで約4か月、等級・評価・報酬を含む人事制度全体で約1年です。
現場から見直しで大切なのは、いきなり新しい制度を作り始めないことです。先ほどの会社でも、まず管理職と社員にアンケートとインタビューを行いました。すると、評価の「項目」よりも、評価の「結果が本人にきちんと伝わっていない」ことに、不満の大部分があると分かりました。原因がずれたまま制度を作り直しても、同じ不満が残ってしまいます。
まとめ
- 評価制度は、事業や組織の変化とともに少しずつずれていく
- 「納得感がない」「理由を説明できない」「全員普通」「形だけ」「組織が変わった」は見直しのサイン
- 見直しは現状の診断から。評価制度のみで約4か月、制度全体で約1年が目安
この記事を書いた人
加藤 貴之株式会社Cradle 代表取締役
明治安田生命保険相互会社の人事部で研修・採用を担当後、米国Purdue University/Boston UniversityでMBA(HR専攻)を取得。三菱UFJ信託銀行、株式会社HRガバナンス・リーダーズでの人事コンサルティングを経て、2021年に株式会社Cradleを設立。MENSA JAPAN会員。