皆さんこんにちは!株式会社Cradle代表の加藤です。
最近は出張で研修を行うことが多いのですが、先日、半年前に評価者研修を受講された方とフォローアップ研修で再会しました。「評価面談の進め方が変わりました」と言っていただき、研修講師冥利に尽きる瞬間でした。
一方で、研修では「評価をつけるのが難しい」という声もよく聞きます。今回は、その原因になりやすい「評価エラー」についてまとめました。
この記事の結論
評価エラーとは、評価者の思い込みや記憶のクセによって、評価が実態からずれてしまう現象です。代表的なものに「ハロー効果」「中心化傾向」「寛大化傾向」「期末誤差」「対比誤差」があります。防ぐ鍵は、評価の根拠を「印象」ではなく「記録した行動事実」に置くことです。
評価エラーとは
人事評価は、評価者という「人」が行う以上、どうしても判断に偏りが生まれます。この偏りのうち、多くの評価者に共通して起こりやすいパターンを「評価エラー」と呼びます。
現場から人事部にいた頃、ある部署だけ評価が極端に高く、別の部署では平均が低い、ということがありました。社員の力に差があったわけではなく、評価者のつけ方の違いでした。同じ成果を出しても部署によって賞与が変わり、若手社員から「頑張っても、結局は上司次第」という声が出てしまったのを覚えています。
代表的な5つの評価エラー
| 評価エラー | 内容 | よくある場面 |
| ハロー効果 | 目立つ長所・短所に引きずられ、他の項目まで同じように評価してしまう | 営業成績が良い部下を、協調性の項目でも高く評価する |
| 中心化傾向 | 差をつけることを避け、評価が「普通」に集中する | 5段階評価で、ほぼ全員が「3」になる |
| 寛大化傾向 | 全体的に評価が甘くなる | 部下との関係が悪くなるのを恐れ、高めにつける |
| 期末誤差 | 評価期間の終わりごろの出来事に、評価が引きずられる | 期末直前の大きなミスで、1年間の評価を下げる |
| 対比誤差 | 自分自身を基準にして評価してしまう | 自分が得意な業務ほど、部下に厳しくなる |
なぜ評価エラーは起きるのか
評価エラーの多くは、評価者の能力や性格の問題ではありません。「1年分の行動を、評価の時期にまとめて思い出そうとする」という評価の進め方そのものに原因があります。記憶に頼るほど、印象に残った出来事や直近の出来事に判断が引っ張られます。
評価者が今日からできる3つの対策
1. 行動の事実を、その都度記録する
「いつ・どんな場面で・何をしたか」を、評価期間中に短くメモしておきます。評価の時期には、記憶ではなく記録をもとに判断できます。
2. 評価基準と照らし合わせてから点数をつける
点数を先に決めるのではなく、記録した事実を評価基準の文言と1つずつ照らし合わせます。
3. 評価の理由を、部下に説明できるか確認する
「なぜこの評価なのか」を、具体的な事実で説明できるかを最後に確認します。説明できない評価は、評価エラーの可能性があります。
現場から評価者研修では、同じ部下のケースを読んで、受講者それぞれに評価をつけてもらいます。同じ事実を見ているのに、5段階で「2」から「5」まで評価が分かれることも珍しくありません。結果を見比べて「自分はこう見ていたのか」と気づく瞬間は、研修の中でいちばん空気が変わる場面です。
組織として取り組むべきこと
個人の努力だけでは、評価のばらつきはなくなりません。評価基準を具体的な行動レベルで定義すること、評価者同士で評価をすり合わせる場(評価会議)を設けること、そして評価者研修で目線をそろえることが、組織としての有効な取り組みです。
まとめ
- 評価エラーは、評価者の思い込みや記憶のクセによる評価のずれ
- 代表的なものは、ハロー効果・中心化傾向・寛大化傾向・期末誤差・対比誤差の5つ
- 防ぐ鍵は、「印象」ではなく「記録した行動事実」にもとづいて評価すること
この記事を書いた人
加藤 貴之株式会社Cradle 代表取締役
明治安田生命保険相互会社の人事部で研修・採用を担当後、米国Purdue University/Boston UniversityでMBA(HR専攻)を取得。三菱UFJ信託銀行、株式会社HRガバナンス・リーダーズでの人事コンサルティングを経て、2021年に株式会社Cradleを設立。MENSA JAPAN会員。